経済史

(東京大学経済学部 2005年度通年 木X、駒場)

(『経済学部講義要項』2005年、11頁、経済学部進学希望者には5月24日に駒場で開催される予定の経済学部オリエンテーションで配布されます。)

1 講義の概要・目的
 われわれの生きる現在は近現代の末端に連なっているから、現在を社会科学的に知ろうとする際に重要なことは、近現代の社会・経済の特質を、その前史や成立過程とともに理解することである。本講義のTでは経済史の課題と基本的な方法を概観し、Uでは前近代(中世)西洋の社会・経済との比較から近現代の特質を論ずる。Vでは前近代から近代への長い移行期(近世ないし初期近代)を、Wでは近代の市場経済・資本主義・産業社会・市民社会の構造と動態を、それぞれ欧米諸地域に即して解明する。Xでは日本経済を対象に、近世・近代の構造と動態を概観する。
 本講義の構成はおよそ以下のとおりである。

  T 導入
   1 経済史とは何か
   2 効率性と分業
  U 前近代
   1 総説:前近代と近現代
   2 共同体と身分制
   3 前近代社会の持続可能性と停滞
   4 前近代の市場、貨幣、資本
  V 近世
   1 総説:前近代から近代への移行
   2 市場経済と資本主義
   3 近世の市場と経済活動
   4 近世の経済と国家
   5 近世の経済規範
  W 近代
   1 産業革命
   2 資本主義の経済制度
   3 国家と経済
   4 自然と経済
   5 家と経済
   6 資本主義の世界体制
   7 近代と現代
  X 日本経済における近世・近代
   1 経済発展と市場・制度・組織
   2 近代経済成長
   3 工業化と経済政策
   4 工業化の制度的基礎
   5 戦間期のマクロ経済
   6 経済発展と制度変化

2 教科書
 なし。

3 参考文献
 T〜Wについては楠井敏朗・馬場哲・諸田實・山本通『エレメンタル西洋経済史』(英創社)、ハイルブローナー&ミルバーグ『経済社会の興亡』(ピアソン)、石坂昭雄・船山榮一・宮野啓二・諸田實『新版 西洋経済史』(有斐閣)、長岡新吉・太田和宏・宮本謙介『世界経済史入門』(ミネルヴァ書房)を、Xについては西川俊作・尾高煌之助・斎藤修編『日本経済の200年』(日本評論社、1996年)を挙げておく。また、講義開始後に文献リストをホームページ上に公開するほか、講義の進行に応じて随時案内する。

4 その他 その他(要望科目等):11月末頃まで小野塚がT〜Wを、以後、岡崎がXを担当する。