お知らせ
東大EMP10周年記念シンポジウム「知の統合化の先へ」
9月12日(水)に、東大EMP10周年記念シンポジウムが開催されました。
秋の気配も感じられるようになってきた東京大学本郷キャンパス。赤門を入ったすぐ脇にある伊藤国際学術研究センターが、この日のシンポジウムの会場です。EMPの修了生や講師陣だけでなく一般からも多数の参加者を迎え、400席の会場は満席となりました。
理事・副学長である小関敏彦EMP室室長の開会の辞で幕が落とされた後、最初に行われたのは、総合討論1「知の統合化の先へ~人間とはなにか」です。山田興一 EMPコチェアマン(工学者)がモデレータを務め、合原一幸 教授(数理工学者)、小野塚知二 教授(歴史家・経済学者)、小林康夫 東京大学名誉教授(哲学者)、尾藤晴彦 教授(脳科学者)との議論をリードしていきました。人間とはなにかというテーマを見据えつつ、それぞれの登壇者が繰り広げる自由闊達な議論は、大学という場に相応しい創造的なやりとりでした。互いに斬り込む丁々発止のやりとりには、大いに会場が盛り上がりました。
引き続いて行われたのは、総合討論2「構造知のはざまに潜む生命統合化システム」です。難波成任 EMPコチェアマン(植物病理学者)がモデレータを務め、浅島誠 東京大学名誉教授(生物学者)、菅野純夫 東京大学名誉教授(生命科学者)、佐野雅己 教授(物理学者)との議論をリードしていきました。総合討論1が枠組を広げて行く討論であったのに対して、総合討論2では最先端の生命科学の知見を元に深く潜っていく議論が行われ、先端的な研究分野を多く抱える東京大学ならではの議論でした。
短い休憩を挟んだ後に行われたのは、修了生を交えたパネル・ディスカッションです。横山禎徳 EMP企画推進責任者(社会システムズ・アーキテクト)がモデレータを務め、登壇した5名の修了生とともにEMPの10年間を振り返り、達成できたこと、達成できていないことの整理を試みました。10年間という時間をかけて築き上げてきたEMPのコミュニティを活用し、座学に留まらないより実践的な訓練も取り入れた、新しい社会人教育の場のあり方等について議論が行われました。
最後に、五神真総長および小宮山 宏第28代総長(EMPチェアマン)からそれぞれ記念講演をしていただきました。五神総長からは、変革の最中にあるSociety5.0(知識集約型社会)に向けて、東京大学および東大EMPが果たすべき役割についてメッセージをいただきました。一方、小宮山元総長からは、より長期的視点で日本が目指すべきプラチナ社会に向けて、東大EMPに期待される役割についてメッセージをいただきました。
予定された時刻を大幅に超過しての終了となりましたが、参加者全員がシンポジウムでの議論に大いに刺激を受けた表れであると言えるかもしれません。たった4時間の短いシンポジウムではありましたが、知の統合化の先に東大EMPが目指すべき方向を考える上では貴重な機会であったと思います。10周年記念の行事は、EMP同窓会主催のサテライト・イベント群に引き継がれますので、ぜひそちらのイベントにもご参加下さい。