プログラム
プログラム概要
東大EMPの概要は以下の通りである。
- 年2回(秋期、春期)実施し、それぞれ10月と4月に開講する
- 金・土曜日の週2日間(終日)開催され、夏休み、冬休みを除く20週のプログラムである
- 社会人向けの学位を提供しないプログラムで、一定の条件をクリアした修了者には東京大学総長から修了証書が授与される
- オリエンテーション期間(最初の1週間のうち、日曜日と火曜日を除く5日間)は、チーム作業を活用し、受講者同士深く知り合うきっかけを作る
- 最先端の知識が取り込まれ、歴史的にもまれた内容の幅広い教養に基づいた実際的思考能力訓練のプログラムである
- 受講生は個人事業主を含めた企業人、中央・地方行政官、プロフェッショナル等の優秀な40代を主たる対象とし、定員は25名程度である
- 授業は日本語、英語の混合で行われるが、10%程度は英語の予定である
プログラムの構成
東大EMP講師陣は、東京大学、および他の大学の教授・准教授と経営コンサルタントや弁護士などのプロフェッショナルを中核に構成される。加えて、最先端で活躍する経営者、東大を訪問する世界のリーダーなどの適宜参画等、これらの講師陣の協働作業により、課題設定・形成能力に必要な最先端の教養・智慧とマネジメントの実践的知識を提供する。また、それらを下支えする技能としてのコミュニケーション能力の改善を組み込んだプログラムである。
講義内容の多面的組み立て
プログラム内容
1)教養・智慧
基本となる教養・智慧は、現在所属する組織の価値観を超えて、より幅広く多面的な視野で考え、自分の言葉で語ることを通じて自分の思考・思想の基軸を確立することに資する。現代の中核課題とそれを取り巻く主要課題との関わり、また、それら主要課題間に存在する課題に言及しながら現状の分野縦割り状況にとらわれない議論を展開する。
課題設定:「教養・智慧」プログラムの構成
「教養・智慧」プログラムの講義内容
- 世界の宗教・哲学・思想 (仏教・中国思想、日本思想、西欧的思考、キリスト・イスラーム・ユダヤ思想、ギリシア哲学、インドの社会と文化、東アジア世界等)
- 経済学の理解と展望 (経済史、非伝統的金融政策、政策と経済学、財政学等)
- ものづくり経営学 (ものづくりとサスセナビリティ)
- 法学・政治学 (現代立憲主義と裁判所)
- 国際社会と日本(米・EU・中国の政治と外交、国際関係論、アラブ世界等)
- 農学(GMO、植物医科学、食の安全、農業と環境、森林・林業、食糧増産、新育種法等)
- 医療・健康科学 (医療システム、医療政策、現代病の実態、健康の社会格差、がんのウイルス療法、VRの医療応用、オートファジー、トラウマインフォームドケア等)
- 創薬(医薬品産業のグランドデザイン、有機化学、認知症の先制医療開発等)
- 生命科学 (幹細胞研究、ゲノム科学、再生医療、エマージングウイルス感染症等)
- 脳科学(言語脳科学、分子システム脳科学原論)
- 情報科学 (データサイエンス、インターネットの本質、ビッグデータの時代、AI等)
- メディア論(メディアと「再帰的社会」)
- システム工学 (電力システム、社会に役立つ数学、自己組織化等)
- 物質科学 (物性科学、放射光、光格子時計、ソフトマター、ナノテクノロジー等)
- 物質循環と環境 (環境問題、地震、原子力、気候変動、水、低炭素社会、資源等)
- 宇宙・素粒子(宇宙の姿と物質の起源、宇宙の暗黒面、素粒子、重力波等)
- 建築(情報と建築、建築のデザイン)
- バリアフリー、ジェロントロジー、数学、科学史、有機デバイス、認知科学、社会心理学、教育、災害社会学等
- 特別講義 (日本社会のイノベーション、知の協創、ジェンダー平等、他)
2)マネジメント知識
マネジメント知識は企業だけでなく、官・公・民の多様な組織においてもその重要性を増している戦略的マネジメントの実践に関わるテーマを扱う。主要各国におけるビジネス環境を取り巻く政治・経済や文化の背景と最新の動向や、変革を組み立てるための「社会システム・デザイン」など、基本的に知っておくべき最先端の事象を中心に網羅し、マネジメント分野に関する全体的視点を獲得するとともに、理解が十分でなかった分野や盲点の存在を確認する。
「マネジメント知識」プログラムの講義内容
- マーケティング
- 組織(組織デザインのアプローチ)
- 社会システム・デザイン
- 現代ファイナンス理論
- 企業法務、プロフェッショナリズム
- 戦略的思考とは何か
- 国際ビジネスの必須背景知識(ロシア、イギリス、トルコ等)
- 経営者、各国大使による講義
3)コミュニケーション技能
技能に関しては、上記を支える基盤としての多面的な、特に、英語によるコミュニケーションの能力向上の重要性の再認識を目的とした基本的な訓練を行う。受講生は英語がある程度堪能であることを前提にしている。必要に応じて、自分の現在の英語能力を改善することだけでなく、現在の力で言いたいことの7割程度を表現できるような実際的訓練を組みこんだ個別訓練プログラムを外部機関により提供する。
「コミュニケーション技能」プログラムの講義内容
- 英語での個性的表現力の訓練
- コミュニケーション・スキルズ・ワークショップ
4)東大EMPサロン
「教養・智慧」「マネジメント知識」プログラムではカバーされない、芸術、文化、教育などについて、各分野の専門家とインフォーマルな形で歓談する。(原則、月1回程度)
「EMPサロン」の内容(第20期の場合)
- 狂言談義
- 音楽、現代芸術
- 産学連携
- 坐禅体験、星空観望など
東大EMP講義会場
講義の大部分は東京大学本郷キャンパス内にある伊藤国際学術研究センター3階の特別会議室で行われるが、東京大学の他の施設(駒場キャンパス、柏キャンパス、弥生キャンパスなど)も活用する。