東京大学 エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)The University of Tokyo Executive Management Program.

東大EMPへの招待状

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム。日本の未来を担うエグゼクティブに、知のマネジメント・スキルをプログラミングする「場」の名称です。ここで起こるのは、これからのあなたを変えてゆく、不可逆でダイナミックなプロセスです。例えばここは、あなたがこれまで築き上げてきた思考の枠組みを強化しません。むしろそれをいったん解体し、改めて組み直す努力を強いるでしょう。知識を増やすこと自体は目的ではありません。さまざまな学問の最先端を支える思考のあり方、その理解と体得が目的です。『最終的にめざすのは「課題解決力」の獲得ではありません。そのさらに上流にあって社会や未来を拓いていく「課題設定力」の獲得なのです。』課題解決よりも課題設定が大切である、そのような予感や問題意識を持って企業や組織の要職に就いているリーダーたちにこそ、東京大学が抱える叡智を凝縮した、少数精鋭向けのプログラムは開かれています。ようこそ、東大EMPへ。

東大EMPの使命

東京大学は、この激変する世界において日本の最高学府としての使命と責任を果たすべく、2008年10月、社会人向けの講座「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」(東大EMP)を開講しました。それは、従来の教養講座でもMBAプログラムでもありません。東大が新たな時代に向けて編み出したリベラルアーツとマネジメントのあり方を伝授し、たえず変転する複雑な世界の仕組みを理解しつつ、自ら課題を発見し、形成し、更新して、多様な人たちと協働しうる資質を醸成します。このような唯一無二のプログラムを通して、東大は自らの学術的資源を総動員し、すでに600人を超える修了生を産業界や官公庁、その他の組織から迎えて育成してきました。今後もEMPはプログラムを充実させ、世界の将来に貢献しうる人材を養成していきます。

「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・
プログラム」への期待

優れた課題設定力を備える者こそが次代を切り拓くリーダーとなる。東京大学ではそのように考え、2008年に社会人を対象とした教育プログラムである東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)を開講しました。

課題設定と課題解決は、まったく異なる概念です。課題解決とは、文字通り、課題を解決することです。なにか課題が与えられた時にそれを解決していく力は、言うまでもなく大事な力です。私たちが日々の仕事の中で出会うほとんどの事柄は、そのような課題解決能力によって対応することができるでしょう。しかし、変化が激しく、また対応すべき対象がますます複雑化するいま、課題そのものが分からない時には、対応できなくなってしまいます。リーダーは、先頭に立つ者として誰もが経験したことのない、未知の事象とも対面せざるを得ません。誰よりも早くその事象の本質を捉え、解くべき課題の形に落とし込み、それを人々に示していく。これこそが、現代のリーダーに必要とされる課題を設定する力です。

真に有用な課題設定を行うためには、複雑に変化する事象の本質を捉えて分析し、そこにある問題を見抜くだけでは不十分です。広大な知の世界から関連する知識や考え方を拾い出し、それらを組み上げて新たな課題に作り変えることが必要です。この知を統合する力こそが課題設定力の本質であり、リーダーが身につけるべき新たなマネジメント力だといえます。

東京大学には、それぞれのやり方で新しい知の地平を切り拓く優れた研究者が集まっています。彼らもまた、未知の世界に挑むリーダーたちです。彼らとの対話を通じて知の最先端を俯瞰するだけでなく、どのようなやり方で新たな課題を見出しているのかを学ぶことは、課題設定力の涵養に大いに役立つはずです。

東大EMPが提供するのは、幅広い学問分野の第一線で活躍する研究者と次世代のリーダーとなるべき人材が出会い、互いに高め合っていくことができる唯一無二の「場」です。そこにはこれまで、大企業だけでなく、中小・ベンチャー企業、そして行政機関やプロフェッショナル・ファーム等から高い志を持つ優れた受講生が参加してきました。2008年から全31期を数え、修了生の総数は689名に達しています。修了生のみなさんが東大EMPで学んだ幅広い学術知を俯瞰する視点と新たなマネジメント力としての課題設定力を活かし、共に地球と人類社会全体を豊かなものとしていく、そのような未来への協創がさらに深まることを期待しています。

東京大学総長 EMPチェア 藤井 輝夫