お知らせ
プログラムレポート ~農学デー(第3期)~
2009年12月1日
東大EMPは通常総合図書館で講義が行われていますが、ここで得られる智慧・教養を生み出し、実際に教育研究が行われている現場・施設を見学するプログラムは、まさに「百聞は一見にしかず」であります。第3期では、まず初めに10月23日、農学生命科学研究科がある弥生キャンパスで「農学デー」が実施されました。
午前中は三つの施設を見学しました。動物医療センターでは、センター長の佐々木伸雄教授から動物医療センターの説明に従って見学をした後、若手研究者から「新解析技術による犬の“がん”臨床対応と新開発人工骨の骨欠損部への応用」と「動物医療センターの診療の実際とその教育、研究における役割」について発表とディスカションがありました。東京大学に動物医療センターがあることはあまり知られておらず、多くの受講生にとり、驚きだったようです。
魚類の浸透圧調節が研究テーマの水族生理学研究室では、金子豊二教授より「魚の適応と生殖の生理学」と題して「なぜサンマやイワシは淡水で生きられず、コイやフナは海水に適応できないのか。なぜ汽水域に生息する魚は川でも海でも平気なのか。魚類の性はどのように決まるのか。性転換魚に見られるように、なぜ魚類はいったん決まった性を簡単に変えることができるのか」などの説明を受け、ウナギやティラピアなどの水槽を見学しました。
植物の発病の分子機構の解明と植物医科学の展開を主要テーマとする植物病理学研究室・植物医科学研究室では、濱本宏准教授・大島研郎准教授・難波成任教授のもとで学ぶ研究室の若手研究員から、植物病原微生物であるファイトプラズマとその被害、また東大植物病院が国内で初めて検出したプラムポックスウイルスの説明などを受けました。その後、RNAサイレンシングの可視化実験の観察、さらに研究室で開発されたウイルス検出キットを一人一人使って体験し、最後にこれらの研究に取り組む若手研究者とのディスカッションで盛り上がり、同研究室の見学を終えました。
午後は弥生キャンパス内でフィールドトライアルに挑戦し、うどんこ病、癌腫病、さび病を発病した植物を観察しました。また、昨年開設された植物病院で、採取した植物を顕微鏡で観察しました。このように自分の眼で観察することにより、植物に甚大な被害をもたらす病原体やその感染メカニズムへの関心が高まり、受講生にとって大変有意義な体験となりました。
最後に、難波成任教授による植物の健康をテーマにした講義と質疑応答で、農学分野に集中した1日を締めくくりました。