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プログラムレポート ~緒方貞子氏 東大EMPで語る~
第3期EMPでは、2月26日に独立行政法人国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長をお招きし、特別講義として「国際社会における日本の役割と開発協力」をテーマに語っていただきました。
最初に緒方先生から大きな変革期を迎えている世界の中にあって、国際協力とはなにをすることなのか、そしてその中で日本はどのような役割を果たすべきなのか、という主題が示されました。人や物が国境を簡単に越えて行き来する現代社会においては、例えば第二次世界大戦後に作り上げられた安全保障の枠組みなどは根本的にそぐわなくなっていることを、アメリカ同時多発テロ事件などは示していると言えます。このような情勢の下で、私たちはどう世界の枠組みを再構成していくのか、そしてその中で開発援助にはどういった意味があるのかを、丁寧にお話しされました。
「開発援助はチャリティーではない」との言葉には、多くの受講生がハッとさせられたようです。共同利益の追求としての開発援助という考え方に深く納得するとともに、一般になかなかその思想が理解されていない現状をもどかしく感じる受講生も多かったようです。
緒方先生が強調されていたのは、日本が繁栄の孤島となってはいけないということでした。国際社会の一員として、いかに日本は責任を果たしていくべきか。住友化学による蚊帳普及事業の事例など具体例をいくつも紹介されながら、日本が進むべき方向について力強いメッセージをいただきました。開発協力には「温かい心と、クールな頭脳」が必要という緒方先生の言葉が、強く印象に残りました。
質疑応答では、受講生から盛んに質問が寄せられました。JICAの活動に関する質問を皮切りに、多岐に渡る質問が出ました。緒方先生にはひとつひとつの質問に対して丁寧に議論していただき、密度の濃い時間となりました。長年にわたって国際社会で活躍されている緒方先生の熱い想いを直接感じることができたことは、受講生にとって大きな収穫であったと思います。