お知らせ

プログラムレポート ~農学デー(第4期)~

2010年06月11日

緑に囲まれた弥生キャンパス
緑に囲まれた弥生キャンパス

東大の他キャンパスでの施設見学の最初は、フィールドワークも取り入れた「農学デー」です。第4期では、2010年6月4日に農学生命科学研究科がある弥生キャンパスで「農学デー」が実施されました。好天にも恵まれ、ラボとフィールドの両輪を堪能できた有意義な一日でした。

午前中は二つの研究施設を見学しました。水圏生物科学専攻水族生理学研究室では、金子豊二教授より「魚類の浸透圧調節」について説明を受け、キンギョ、ウナギやティラピアなどの水槽を見学しました。魚類をはじめとする水生動物は、多様性に富んだ水環境に適応し、汽水域に生息する広塩性魚やウナギやサケなどの通し回遊魚は淡水・海水双方の環境に適応することができるが、コイやフナなどの淡水魚は海水では生きられず、逆にアジ、イワシ、トラフグなどの海産魚は淡水に適応できない。ティラピアは広塩性魚で、いつでも淡水と海水を行き来できる。魚類のイオン・浸透圧調節研究を推し進めることで、魚が様々な水圏環境に適応する仕組みを解明し、その応用例として海から遠く離れた山里で温泉水を利用して海産魚であるトラフグを養殖する試みについても紹介していただきました。

「魚類の浸透圧調節」を説明する金子豊二教授
「魚類の浸透圧調節」を説明する金子豊二教授
ティラピアの水槽
ティラピアの水槽



GFP遺伝子により光るウイルスに感染した植物の観察
GFP遺伝子により光るウイルスに感染した植物の観察

植物の発病の分子機構の解明と植物医科学の展開を主要テーマとする植物病理学研究室・植物医科学研究室では、山次康幸助教・大島研郎准教授・難波成任教授のもとで学ぶ研究室の若手研究員から、「ファイトプラズマ」など発病の分子機構の解明と植物医科学の展開のミニレクチャーを受けました。その後、研究設備としてゲノム解読用のDNA自動塩基配列解析装置や、植物・微生物の遺伝子操作用の機器について説明を受けました。また、GFP遺伝子により光るウイルスに感染した植物を観察しました。さらに研究室で開発され、現在国内で発生し問題となっているPPVの全国調査等に利用されているPPVウイルス検出キットを使って植物からウイルスの検出を試み、全員成功しました。最後に、若手研究者たちから現在取り組んでいる研究の様子などを聞き、彼らの研究に対する情熱に感銘を受けました。

午後は弥生キャンパス内でフィールドトライアルに挑戦。さび病、紫斑病、こぶ病、うどんこ病、褐色円紫斑病、ツツジグンバイ、ペスタロチア病、黒星病などを発病した植物をルーペで観察しました。午前のミニレクチャーで教えていただいた「ファイトプラズマ」によるアジサイの葉化病も見つけました。キャンパス内だけで10以上もの植物病があることに驚くと同時に、植物に甚大な被害をもたらす病原体やその感染メカニズムへの関心が高まりました。また植物に直接触れることで、植物の世界が少し広がったようです。

フィールドトライアルに挑戦
フィールドトライアルに挑戦
「ファイトプラズマ」によるアジサイの葉化病
「ファイトプラズマ」による
アジサイの葉化病
こぶ病
こぶ病



最後に、難波成任教授による植物の健康をテーマにした講義と質疑応答で、農学分野に集中した「農学デー」を締めくくりました。

セイホクギャラリーでの講義
セイホクギャラリーでの講義

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