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プログラムレポート ~スーパーカミオカンデ訪問(第2回)~
昨年に引き続き、今年もEMPの学外研修の一環として、9月25日に東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設の見学を行いました。研究施設があるのは、岐阜県飛騨市にある神岡町。台風一過のさわやかな天気の中、20名の修了生(第3期生、4期生)希望者が訪問しました。
施設で出迎えて下さったのは、同施設の施設長、鈴木洋一郎教授です。鈴木教授から、施設ではどのような研究活動が行われているのかを丁寧に説明していただきました。施設の全容を掴んだところで、いよいよ坑道バスに乗りこみ観測施設のある旧神岡鉱山の中へと向かいました。
バスに揺られること10分弱、私たちが降り立ったのは、真っ暗な坑道の奥に作られた不思議な空間でした。鉱山として操業していた頃の雰囲気を残しつつも、最新鋭の機器が所狭しと並んでいる様子は、さながら秘密基地のようです。それもそのはず、ここでは世界最先端の研究が行われているのです。
まず鈴木教授自らに案内していただいたのは、ぽっかりと広がる空洞内に設置された大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置(スーパーカミオカンデ)です。これは、1987年に世界で初めて、超新星からのニュートリノを検出することに成功したカミオカンデの後継機として活躍している装置です。ニュートリノなどの発するわずかな光を捉えるために、研究者らが検討に検討を重ねて出した答えがこの装置であると考えると、感慨深いものがあります。
スーパーカミオカンデのコントロールルームの次に案内していただいたのは、稼働を間近に控えたXMASSです。世界初のダークマター検出を狙ったこの装置は、たまたま最近放映されたNHKの番組で知っていた人たちも多く、一様に熱い眼差しが向けられていました。
最後に見学したのは、重力波実験装置(CLIO)Prototypeです。いまだ検出されていない重力波ですが、どういった点がクリアすべき課題であるのか。研究グループの宮川治特任助教の熱の入った説明は、その原理を私たちに教えてくれただけでなく、研究現場の熱気をも伝えてくれたように思います。銀河系内での超新星爆発が遠からず起きることを、一同、願わずにはいられませんでした。
以上の見学を終え、研究施設に戻った参加者たちから、残された時間で鈴木教授と宮川特任助教にさまざまな質問が出されました。ダークマターの正体から宇宙の果てまで、話は尽きることがなく、予定を30分超過してのお開きとなりました。EMPの講義を通じて、素粒子物理や天文学に親しんできた修了生らにとっては、たいへん有意義な一日であったようです。