お知らせ
プログラムレポート ~星空観望と座禅研修(第5期)~
2010年11月25日
11月12日から13日にかけて、EMPでは恒例となった一泊二日の研修を行ってきました。理学系研究科天文学専攻の岡村定矩教授による「アンドロメダを肉眼で見る会」(星空観望会)と、小島岱山老師による座禅と公案の体験が目的です。
11月12日(金)、本郷キャンパスでの講義を3限目で切り上げ、貸切りバスに揺られること2時間弱。着いたのは山梨県山梨市でした。今回は天候に恵まれ、澄み渡る星空の下で天体観望を楽しみました。太陽系の天体である月と木星、太陽系に比較的近い秋の星々やすばるのような銀河系内の天体たち、そして遠くは230万光年の彼方にあるアンドロメダ銀河まで、さまざまな天体を肉眼で探すことができました。用意された富士フイルム(株)製のフジノン大型双眼鏡と反射式望遠鏡を使っての観望も素晴らしく、アンドロメダ銀河がボオーっと光る様子、まるで目の前に浮かんでいるかのような月、木星の周りを回るガリレオ衛星などに感動した受講生も多かったようです。屋外での観望のあと、室内では国立天文台が開発した宇宙シミュレーター「Mitaka」を用い、地球から宇宙の果てまでを俯瞰することで、私たちがどのような世界にいるのかについての理解が深まったようです。
翌朝13日(土)、山頂がうっすらと雪に覆われた富士山や紅葉に染まる山々を眺めながら、東京都羽村市にある一峰院に移動しました。そこでは向嶽寺僧堂師家・小島岱山老師の指導による座禅と公案(禅問答)の本格的な実習がありました。
まずはじめに小島老師から西洋哲学と東洋哲学の違いについての講話がありました。特に「無」を根本とする東洋思想は日本の諸文化の根底にあり、「無」を体得するには腹式呼吸による座禅をし、公案に参ずるのが一番よく、またこれが臨済宗の特徴でもあると説明されました。この公案には全受講生が挑戦し、初めての体験に様々な思いがあったようです。ほとんどの受講生は座禅初心者で、午前9時半から午後3時までの6回(1回あたり30分)は、足の痛みも通り越し、苦しいながらも悟りに近い心境になった方もいたようでした。
大宇宙を眺め、小宇宙(自己)にはさらに大きな宇宙があることを発見しました。