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プログラムレポート ~農学デー(第6期)~
2011年11月7日
第6期EMPでは、2011年10月28日に東京大学弥生キャンパスの見学会を行いました。本郷キャンパスに隣接する弥生キャンパスは、農学系の研究棟が集中するエリア。そこでいったいどんな教育研究が行われているのか、実際に研究室を訪問して、自ら体験してくることが今回の訪問の目的です。
午前中は、2010年12月に完成したばかりのフードサイエンス棟にある中島董一郎記念ホールを拠点に、講義とフィールドワークが行われました。受講生たちは、最初に難波成任教授から「食料生産の理解と展望~植物の健康~」と題した講義を受けて植物医科学を概観し、その知識を持ってキャンパス内のフィールドワークへと出発しました。ふだんは見慣れた植物群も、話を聞いた上で眺めるとどれも興味深く、さまざまな病変が見えてきます。四つのチームに分かれた受講生達は、それぞれ異なる植物病に罹患したと思われる植物を採集し、研究員らの指導の下、実験室で植物病の正体を探りました。実体顕微鏡を使って病変を観察し、植物病の分厚い図鑑と照らし合わせながら、チームで議論して結論を導く。研究現場の空気の中でのひとときは、貴重な体験となったようです。昼食前には各チームから診断結果のプレゼンテーションがあり、先生方にご講評いただきました。
昼食を挟んで、午後には植物病理学研究室・植物医科学研究室と動物医療センターの見学を行いました。難波成任教授が研究リーダーを務める植物病理学研究室・植物医科学研究室では、受講生らはPCR法、遺伝子組換え実験、プラムポックスウイルス(PPV)検出キットを用いた検出実験の三つに挑戦しました。持ち慣れないピペットを使って溶液をセルに注入するのは、簡単そうに見えてなかなか大変です。遺伝子操作と聞くとなにやら遠い世界の存在のような気がしますが、実際に目の前で泳動する遺伝子を目にすると、急に身近なものに感じられるようになりました。
動物医療センターの訪問も、価値のある体験でした。センター長の佐々木伸雄教授に連れられてセンターを訪問した受講生たちに、診療室、エコー室、CT/MRI室、手術室などをひとつひとつ丁寧に案内していただきました。多くの医療スタッフの皆さんが忙しく働かれる現場は緊張感があり、まさに動物医療の最前線を見せていただいたように思います。ペットを飼っている受講生も多く、家族としての愛玩動物の医療については、身近な問題として考えさせられる事も多かったようです。施設見学の後は、講義室にて玉原智史助教と崔成眞特任助教から、それぞれ「伴侶動物の遺伝病」と「新規人工骨の医学/獣医学領域への応用」についてのミニレクチャーをしていただきました。
今回の弥生キャンパス見学会では、農学の持つ幅広い可能性を感じ取ることが出来ました。理学や工学的な側面のみならず、植物医師制度やペットを通じて高齢化社会の問題に取り組むなど、さまざまな切り口があることを理解しました。時間の都合上、今回は広い農学部の一部の研究室しか訪問できませんでしたが、今後EMPで行われる農学系の講義をより深く理解するための、貴重な機会となったようです。