お知らせ

プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空と座禅(第6期)~

2011年11月25日

EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「座禅実習」は2011年11月18日から19日にかけて群馬県で実施されました。最先端の知を学ぶ座学から離れ、壮大な宇宙を眺め、真実の自己(小宇宙)を探求する試みです。

6期生は11月18日(金)午後4時、本郷赤門前から貸切バスで群馬県赤城山へ向けて出発しました。昼頃の赤城山あたりの天候は多少晴れ間が出ているものの、夜間にかけて曇り、翌日は雨模様。残念ながら今回は星空観望をあきらめ、いつもお願している大型双眼望遠鏡の手配は断念せざるを得ませんでした。赤城山の宿に着いたときも曇り空で、夕食後、夜のプログラムの準備にとりかかりました。ところが、夜9時半頃夜空を見上げたら、満天の星が輝いているではありませんか!急きょ、1台だけ準備した大型双眼望遠鏡や小型双眼鏡を宿のテラスに準備し、予定通り星空観望ができました。

理学系研究科天文学専攻の岡村定矩教授が行きの車中で「天候も天文学者の実力のうち」と冗談交じりに話されましたが、それがうれしいことに証明されました。岡村教授から木星、プレアデス星団、アンドロメダ銀河の探し方を学び、実際にそれらを肉眼やフジノン大型双眼望遠鏡(富士フイルム製)で見ることができました。ほとんどの人が、地球から約230万光年の距離に位置している「アンドロメダ銀河」(M31)を肉眼で見ることができました。また、双眼鏡で木星とともにその周囲を回る4つのガリレオ衛星を見ることもできました。

星空観望の様子   星空観望の様子
星空観望の様子


星空観望会のあとは、室内で高梨直紘特任助教による国立天文台が開発した宇宙シミュレーションソフト「Mitaka」を用いて地球から宇宙の果てまでを俯瞰したプレゼンテーションがあり、私たちがどのような世界にいるのか更に理解が深まったようです。夜のプログラムが終わりかけた頃、夜空には雲がかかり、雨模様になってきました。このような天候のなかで星空観望会ができたのは、本当に幸運でした。

宇宙シミュレーションのスライドショー
宇宙シミュレーションのスライドショー


翌日(11月19日)は、冷たい雨の中を群馬県桐生市の臨済宗建長寺派宝徳寺に向かいました。向嶽寺僧堂師家・小島岱山老師による座禅と公案(禅問答)の実習です。ほとんどの受講生は座禅初心者で、午前9時半から午後2時半までの5回(1回あたり30分)の座禅実習は苦痛の5時間のようでした。しかし、方丈前の紅葉や枯山水庭園を眺め、雨音に耳をすまし、一瞬でも「無」を意識する時間を持てたことは貴重な体験でした。

座禅実習風景  座禅実習風景 座禅実習風景
座禅実習風景

宝徳寺の紅葉と枯山水庭園  宝徳寺の紅葉と枯山水庭園 宝徳寺の紅葉と枯山水庭園
宝徳寺の紅葉と枯山水庭園


事前に、小島老師から公案禅に参じる考えるヒントとしてフッサールの『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』を紹介されましたが、考えれば考えるほど分からない。頭で考えてはいけないらしい。「無(ムーーーー)」と叫んで、悟りを開いた人はいただろうか?いずれにしても既成の価値にとらわれず、自己の内面を探求するいい機会になったことでしょう。

昼の精進料理
昼の精進料理

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