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プログラムレポート ~柏キャンパス見学(第6期)~
2011年12月2日
第6期EMPでは、11月24日に東京大学柏キャンパス(千葉県)の見学会を行いました。柏キャンパスは、本郷、駒場の各キャンパスに続く第三のキャンパスとして1999年より運用が開始された、新しいキャンパスです。この柏キャンパスに集まるさまざまな最先端の分野の研究室を訪問し、そこで行われている研究活動の実際に触れることが今回の訪問の目的です。
数物連携宇宙研究機構(IPMU)の会議室に集合した受講生たちに、最初に東京大学物性研究所所長の家泰弘教授から、柏キャンパスの概要についてお話しいただきました。最近もジェロントロジー研究教育センターが開設されるなど、日々成長を続ける柏キャンパスが東京大学全体のキャンパス計画の中で、大事な役割を担っていることを理解しました。
その後、IPMUの吉田直紀特任准教授に案内されて、IPMUの建物の見学を行いました。数学、物理、天文学の各分野の研究者間で活発な議論が行われることを狙い、お互いに顔を合わせる機会を多く創り出すような工夫が随所にある建物は、とてもユニークです。入口から屋上階まで各研究室を繋ぐらせん状の廊下、建物の中央にある広々としたラウンジ、いつでも議論ができるよう用意された黒板に数式がたくさん書かれている様子などなど。ここで日々行われている議論を想像しながら、楽しく見学しました。
隣の物性研究所に移動してからは、再び家教授に案内をしていただきました。極低温での実験を行うためのシールドルームを備えた実験室や、実験に使われる液体ヘリウムを供給する低温液化室など、初めて見る施設に受講生からもさまざまな質問が飛び出しました。屋上からはキャンパス全体を俯瞰することもでき、改めてその広さに驚きました。
次に見学したのは、物性研究所の先端分光研究部門に属する極限レーザー実験室と、国際超強磁場科学研究施設に属する超強磁場実験室です。極限レーザー実験室では、辛埴教授、小林洋平准教授からレーザー研究についてひととおりの解説をしていただいた後、実際の実験施設を見学しました。所狭しと実験機材が並ぶ部屋の中、ピコ秒やアト秒といったふだん聞くことのない極限の世界を目指し、日々の研究活動が行われている様子は迫力のあるものでした。先生方の説明によって、極限のレーザーを創り出す技術や、その多彩な応用について理解を深めることが出来ました。
引き続いて訪問したのが、国際超強磁場科学研究施設です。最初に金道浩一教授から簡単なレクチャーを受けた後、実験施設に移動して見学を行いました。嶽山正二郎教授の案内で見せていただいた超強磁場発生装置では700テスラにも達する磁場を発生できるとのことで、ただただそのスケールに圧倒されるばかりでした。実験によってねじ曲がったり砕け散った部品の数々に、磁場の力の凄まじさを感じました。金道教授には、自転車を利用した手作りの蓄電実験を通じて巨大なフライホイール型直流発生装置の原理を説明していただき、大変よく理解できました。
教授や研究者の皆さんと一緒に昼食をとった後、午後は大気海洋研究所の新野宏所長から研究所の簡単な説明をしていただき、引き続き施設見学を行いました。蒲生俊敬教授に率いられて訪れた総合クリーン実験施設では、中山典子助教から施設の概要と長期間に亘る溶存酸素量の測定など、この施設を活用した研究例について紹介していただきました。
小島茂明教授には、屋外にある海洋観測機器棟を案内していただきました。さまざまな観測のために使われる機材は、どれも工夫に満ちており、好奇心を刺激します。ちょうど航海から戻ったばかりの機材の片づけも行われており、研究現場の臨場感溢れる見学となりました。
屋内に戻り、兵藤晋准教授には海洋生命研究概要説明のあと、飼育実験水槽のある実験室を案内していただきました。たくさんの水槽が並ぶ実験室は、不思議な空間に迷い込んだようです。ふ化しかかっているドチザメの卵、ティラピアなど、貴重な飼育魚類や生物処置室などを見学しました。
以上の研究施設見学を行った後、再びIPMUの建物に戻り、IPMU機構長の村山斉特任教授から「宇宙の暗黒面」と題して講義をしていただきました。ダークマター、ダークエネルギーといった私たちの宇宙の大部分を占める未知の物質・エネルギーについて、どのように研究が進んでいるのか、わかりやすくお話していただきました。受講生らからも活発に質問が行われ、最後の最後まで充実した一日となりました。