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プログラムレポート ~柏キャンパス見学(第7期)~
2012年7月12日
6月29日、東京大学主要キャンパスのひとつである柏キャンパス(千葉県)の施設見学を行いました。柏キャンパスでは、様々な新しい取り組みが行われており、その最先端分野の研究室を訪問し、そこで行われている研究活動の実際に触れてきました。
見学に先立ち、物性研究所所長の家泰弘教授から、柏キャンパスの概要の説明等があり、物性研究所の屋上からキャンパス全体および周辺の概観を俯瞰しました。広々とした開放感溢れるキャンパスに、受講生からは、まるで海外の大学や研究所にいるようだとの声が多く聞かれ、都心のキャンパスとはまた違った魅力があることを実感しました。
次に、地下にあるナノスケール物性研究部門の実験室、低温・多重極限実験棟の低温液化室等を見学し、家教授から説明を受けました。低温液化室の供給する液体ヘリウムは、年間供給量が20万ℓを越え、国内外の同様の研究施設の中でも1、2を争うほどの供給量の多さだそうです。
その後は2班に分かれて、大気海洋研究所と物性研究所の超強磁場実験棟を見学しました。
大気海洋研究所では、海洋生命科学部門 兵藤晋准教授から大気海洋研究所の概要と先生のご専門であるサメやエイといった軟骨魚類のミニレクチャーがありました。中でも、サメは魚類でありながら、その繁殖法は卵生だけでなく、卵胎生、胎生もあるという興味深い内容でした。説明のあとには、たくさんの水槽が並ぶ飼育実験施設を見学しました。
その後、高空間分解能二次イオン質量分析計や電子顕微鏡等を見学しました。これらを使い、魚の耳石を調べることによって、出生地等を識別することができるそうです。こうして、生態に謎が多く、特に産卵地点は長らく不明であったウナギの産卵地点をつきとめ、ニホンウナギの卵の採取にも成功しました。
国際超強磁場科学研究施設では、嶽山正二郎教授から簡単な説明を受けた後、実験施設に移動して見学を行いました。金道浩一教授の案内で、磁場生成に必要な大量の電力を供給するためのフライホイール付き直流発電機を見学しました。これは、世界最大の発電能力を有する直流発電機としてギネスブックにも登録されているそうです。また、松田康弘准教授の案内で見学した破壊型の電磁濃縮超強磁場発生装置は、巨大なコンデンサーに貯められた膨大な電流を一気に流すことで、600~700テスラに及ぶ超強力な磁場を瞬間的に発生させることができ、見ているだけでも圧巻でした。実験によってねじ曲がったり砕け散った部品の数々に、磁場の力の凄まじさを感じました。
昼食を挟んで、午後は新領域創成科学研究科基盤科学実験棟のふたつの実験室の見学を行いました。エネルギー変換システム講座の岡本光司准教授に案内していただいた風洞実験施設では、極超音速(マッハ7~8)と高エンタルピー(気流温度最高約1500℃)の風洞があり、実演も交えながら、いかにして高速・高温な空気の流れを作り出すかを丁寧に解説していただきました。プラズマ理工学講座の古川勝准教授には、超高速流プラズマ実験装置の説明をしていただきました。ここでは、天体の磁気圏に似た構造のプラズマを実験室に作り出し、先進的核融合を可能にする超高温のプラズマを閉じ込めることに挑戦しています。
以上の研究施設見学を行った後、最後に、新領域創成科学研究科 基盤科学研究系長の伊藤耕三教授より「面白くて役に立つソフトマター」の講義がありました。
今回の柏キャンパス見学会では、世界でも一、二を競うような施設ばかりで、それを活用した最先端の科学技術の進歩を目の当たりにし、まさに「知の冒険」を体験することができた一日でした。