お知らせ
プログラムレポート ~駒場キャンパスでの実験体験(第8期)~
2012年11月12日

銀杏並木を通って実験棟へ
EMP受講生は文系出身者が多く、理系の専門的な講義は難解でとっつきにくいとの意見がありましたので、プログラムの早期に理系の講義にも興味を持っていただけるよう、大学1-2年生がするような実験体験を第6期から入れてきました。
EMP第8期では、2012年11月3日、駒場キャンパスの実験棟で実験体験をしました。
実験に先立ち、「『測る』を究める-測定の基本から超精密測定最前線まで-」と題して、総合文化研究科教授、久我隆弘先生に講義をしていただきました。
この講義では、簡単な実験、測定を体験することで、"測る"ことの基本をまず学び、さらに、その"測った"結果の信頼性を客観的に解釈し、統計学的に評価する手法を学びました。

説明する久我教授
講義の後は「不確かさ」を実感するために、実際に「測って」みるという実験に挑戦しました。「放射線を測る」という実験と「1の目の出る確率」というサイコロを使った実験です。
放射線測定では、久我先生と総合文化研究科准教授、鳥井寿夫先生の指導の下、ガイガー・ミューラー管を用いて放射線源からの放射線の測定を行いました。「測定時間が長いほど正確な測定ができる」ということについて、実際の測定と「不確かさ」の計算を行うことによって実感することができました。


身の回りにあるものの放射線量をガイガーカウンターで測定
また、霧箱を利用してα線の飛跡を直接観察するという体験もしました。普通では目にすることができない放射線ですが、飛行機雲のようにランダムに発生する放射線をはっきりととらえることができました。


サイコロの実験では「理論と測定結果が一致しない場合、測定が信頼できるのであれば理論に間違いがある」という講義の内容を実感することもできました。


二つの実験を通して、測定毎にばらつく数字と、それにどのような意味があるのか。統計の基礎的な部分を学ぶと同時に、実験の難しさと大切さ、そして面白さを学ばせていただきました。
「測る」の3段階である、「定性的観察」、「定量的測定」=自分で確かめるということ、信頼性(不確かさ)評価で=なんでも客観的に判断する、ことの重要性を体感し、学ぶことができた大変有意義な一日となりました。