お知らせ

ファミリーイベント ~国立天文台見学会(第4回)~

2012年12月26日

天文台歴史館(大赤道儀室)
天文台歴史館(大赤道儀室)

EMPのファミリーイベントとして、12月23日に国立天文台(東京都三鷹市)を見学しました。天候にも恵まれ、今までの4回の中でも最多の84名(大人50名、子供34名)の参加がありました。

国立天文台は、世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターで、大学共同利用機関や国際協力の窓口として、観測・研究・開発を広く推進したり、天文学および関連分野の発展のために活動しています。
緑が多く、静かな構内には、旧石器時代から近世までの複合遺跡もあり、国立天文台の前身である東京天文台の面影を残す大正期の建物も点在しています。2班に分かれて、それらの建物などを見学しました。

最初に、国立天文台三鷹の中で現存最古の建物で、国の登録有形文化財にも指定されている第一赤道儀室を見学しました。第一赤道儀室では1939年から60年間、スケッチによる太陽黒点の観測や、写真儀(カメラ望遠鏡)による太陽全体の写真撮影が行われていたそうです。
第一赤道儀室を見学した後、太陽から土星までの距離を140億分の1に縮めて100mにした「太陽系ウォーキング」を歩きながら、天文台歴史館に向かいました。惑星パネルには惑星の14億分の1の模型がついていて、距離や大きさを体感しながら、惑星の特徴を知ることができました。
天文台歴史館(大赤道儀室)も国の登録有形文化財に指定されており、地面からの高さ19.5m、ドーム直径が15mもある巨大な建築物です。建設当時、半球ドームを作る技術が建築業者になく、船底を作る技術を持った造船技師の力を借りて作られたそうです。2階部分にある国内最大口径65㎝を誇る屈折望遠鏡は、既に研究観測からは引退していますが、現在でも観測が可能な状態だそうです。

第一赤道儀室を見学
第一赤道儀室を見学
天文台歴史館を見学
天文台歴史館を見学
国内最大口径の65㎝屈折望遠鏡
国内最大口径の65㎝屈折望遠鏡


その後、天体や天体現象を空間3次元と時間1次元の4次元で可視化するために開発された、4次元可視化実験システム「4次元デジタル宇宙シアター(4D2Uドームシアター)」で最新のコンピュータシミュレーションを科学的に忠実に映像化した、迫力のある立体ムービーを鑑賞しました。
4D2Uドームシアターで、宇宙を文字通り「目のあたり」して講義室に戻ると、サンタさんからのクリスマスプレゼントが待っていました。思いがけないプレゼントに子供たちは大喜びでした。

「太陽系ウォーキング」を歩きながら太陽系の距離や大きさを体感
「太陽系ウォーキング」を歩きながら
太陽系の距離や大きさを体感
80人以上の参加者でにぎわいました
80人以上の参加者でにぎわいました
サンタさんからのクリスマスプレゼントにニッコリ
サンタさんからのクリスマス
プレゼントにニッコリ


最後に、国立天文台TMT推進室長の家 正則教授より「TMTで見る宇宙」のお話がありました。TMT(Thirty Meter Telescope:30m望遠鏡)プロジェクトとは、現在活躍しているすばる望遠鏡などの8m級の望遠鏡による研究を大きく発展させる口径30mの主鏡をもつ大型望遠鏡計画です。プロジェクトは日本のほか、アメリカ、カナダ、中国、インドによる国際協力で進められており、ハワイのマウナケア山の山頂(標高4200m)に建設する予定です。この大きな鏡により、これまでの8m級の望遠鏡と比べ、解像力は約4倍、光を集める能力は10倍以上になるそうで、2020年代には人類の宇宙に対する理解を飛躍的に深めることをめざしています。
難しいお話を身近な例やクイズ形式でわかりやすくお話いただき、参加者からは日本がすごい望遠鏡を作っていて成果を上げていることを初めて知ると同時に、壮大な宇宙の謎にここまでせまっていることに感動した、という声が聞かれました。

家教授によるプレゼンテーション  家教授によるプレゼンテーション
家教授によるプレゼンテーション
クイズの全問正解者に賞品が贈られました
クイズの全問正解者に
賞品が贈られました


今回の見学会では、世界最先端の観測の現状や計画の現場を垣間見ることができ、よい家族サービス・デーになりました。

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