お知らせ
プログラムレポート ~先端科学技術研究センター(駒場Ⅱキャンパス)見学(第9期)~
2013年7月20日
EMP第9期では、7月12日に東京大学駒場リサーチキャンパスにある先端科学技術研究センター(以下、先端研)の見学を行いました。
先端研は、1987年に設立された、東京大学で11番目の附置研究所です。研究者が研究に専念できるよう、所長がガバナンスのための権限を握り、組織運営と研究活動の分離を図るというユニークな組織運営体制をとっています。 「環境・エネルギー」「情報」「材料」「生物医化学」「バリアフリー」「社会科学」の六つの研究領域において、ダイナミックに研究活動が展開されており、そこで行われている研究活動の実際に触れてきました。
はじめに、先端研の西村幸夫所長・教授から先端研における研究活動の概要についての説明がありました。それに引き続き、先端研の中邑賢龍教授から「技術革新と未来の教育・福祉」、九州工業大学 浦 環 特任教授(前 東京大学生産技術研究所 教授)からは「鉱物資源を海底に求める」というテーマで講義がありました。休み時間には、中邑教授の指導のもと、電動車椅子の試乗体験もしました。
午前中の講師や午後の見学コースの研究者たちとの昼食会後、午後は三つのグループに分かれて、五つの研究室の見学をしました。
バリアフリー領域の中邑研究室では、近藤武夫准教授の案内により、先導的障害者雇用推進プロジェクトの現場を見学しました。続いて、巖淵守准教授からは、身の回りにあるテクノロジーを活用した重度障害者支援システム等のデモと説明がありました。
環境・エネルギー領域の瀬川研究室では、久保貴哉特任教授から色素増感型太陽電池の展示物前で、研究開発の意義や目的などについて説明を聞いた後、色素増感太陽電池(微小セル)の作製・評価実験現場とドライルーム内に構築した10cm角サブモジュールの自動化試作ラインを見学しました。
竹川研究室では、竹川暢之准教授から企業と共同開発しているPM2.5エアロゾル組成をリアルタイムで分析する装置の試作機の紹介と、それから得られる観測データについて解説していただきました。
情報領域の鈴木研究室では、鈴木宏正教授から3Dスキャナーや3Dプリンターのデモとともに、製品開発力強化のためのデジタルエンジニアリングにおけるスキャンデータの活用について説明していただきました。
生物医化学領域の酒井研究室では、酒井寿郎教授と稲垣 毅 特任准教授より、健康等にも関係する脂肪をもやす褐色脂肪細胞とメタボリックシンドローム、エピゲノムと環境要因・遺伝素因についてのプレゼンテーションがありました。
受講者からは、特に、「障害者」の概念やその雇用について改めて考えさせられるとともに、そのための科学技術の活用や教育システムや社会システムの構築など、まだまだ社会に向けた取り組みができると感じたという声が多く聞かれました。
今回の先端研見学では、最先端の設備を活用し、人間生活の豊かさや充実感の増進に寄与するHuman-centeredで社会に変革を迫る先端研究の現場を垣間見ることができた一日でした。