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プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空観望と坐禅(第9期)~
2013年5月25日
EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「坐禅研修」が2013年5月17日から18日にかけて群馬県で行われました。
5月17日午後4時に本郷キャンパスを出発して貸切りバスで揺られること約3時間、赤城山中腹の宿に到着。星空観望には絶好の天候に恵まれ、夜空には上弦の月が煌々と輝き、星々が瞬いていました。
法政大学の岡村定矩教授(前東京大学理学系研究科教授)による解説で、月や土星等をフジノン大型双眼望遠鏡(富士フイルム製)で見ました。岡村教授の天空まで届くようなレーザーポインターで指しながら楽しそうに星を説明される姿に引き込まれ、皆、童心に返って星空を見上げていました。特に、大型双眼鏡で月のクレーターが鮮明に見えたのは大変感動的でした。
星空観望会のあとは、室内で高梨直紘特任助教による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いたプレゼンテーションがありました。 地球から宇宙の果てまでを自由に移動し、俯瞰することにより、 私たちがどのような世界にいるのか更に理解が深まったようです。
翌日(5月18日)も天候に恵まれ、新緑の赤城山をあとに、群馬県桐生市の臨済宗建長寺派宝徳寺に向かいました。向嶽寺僧堂師家・小島岱山老師による坐禅と公案(禅問答)の実習です。
小島老師と一対一の公案は、予め出された禅の精神を究明するための問題に対して、自分の考えを答えるものです。今回も代表的な『無門関』から「無字の公案」が出されました。逆説的な問いが多く、考えれば考えるほど分からなくなりますが、ヒントはアタマで考えるのではなく、「対象存在と一つになる」ということだそうです。多くの受講生から、既成の価値観にとらわれず、自己の内面を探求する得がたい体験だったという声が聞かれました。
5時間にもおよぶ坐禅実習は、脚の痺れや痛みもありましたが、方丈前の枯山水庭園、ウグイスや小鳥のさえずり、池で戯れる鯉の飛び交う音などに心を癒やされ、「無」を意識する時間を持つことができました。
最先端の知を学ぶ座学から離れ、自然との一体感を味わいながら、壮大な宇宙を眺め、小宇宙という自己を探求し、「無」とは何かを考える2日間でした。