お知らせ
プログラムレポート ~生産技術研究所見学(第10期)~
2014年1月31日
第10期プログラムでは1月17日、駒場リサーチキャンパスにある東京大学生産技術研究所の施設見学を行いました。
生産技術研究所は、1949年の創設以来、一貫して工学のほぼ全領域を広くカバーする研究教育活動展開しています。「生産技術」の名前の通り、それぞれの分野において卓越した研究成果の創出と社会への発信・還元を実践し、産学連携の活動を展開しているユニークな研究所です。
見学に先立ち、生産技術研究所所長の中埜良昭教授から生産技術研究所の概要説明があり、その後、野城智也教授から「情報とサステナブル建築」、澤田賢治客員教授からは「 地球:物質循環と環境」というテーマで講義がありました。
昼食会の後は、3つのグループに分かれて、竹内昌治准教授、平川一彦教授、横井秀俊教授、巻 俊宏准教授の各研究室を見学しました。
竹内研究室では、マイクロ・ナノデバイス技術を異分野に応用することで、 新しい研究分野や産業を創出することを目指しています。尾上弘晃助教の説明により、マイクロ加工技術を活かすことによる細胞組織の構築を目指す「3次元細胞組織構築」や生体と機械を融合するデバイスを目指した「体内埋め込み型センサ」、生体由来の膜タンパク質を応用することによって、高感度の人工センサの実現を目指す「バイオハイブリッドデバイス」等の話を聞いた後、研究室内の実験室の見学をしました。
平川研究室では、“量子半導体”の中で現れる新規な物理現象を発見・解明するとともに、それらを制御することによりエレクトロニクスに新しい展開をもたらすことを目標に研究を行っています。平川教授から研究概要の説明後、防塵服(クリーンルーム用衣服)に着替えてクリーンルームに入り、装置などの見学をしました。
横井研究室では、CAE(Computer Aided Engineering:工業製品の設計・開発工程を支援するコンピュータシステム)が広く導入されながら依然として経験と勘に支配されるこのプラスチック成形加工分野において、成形現象の実験解析を起点とした工学の新たな体系化を目指し、研究に取り組んでいます。金藤芳典助教より、「射出成形現象の可視化実験解析」の話を聞いた後、実際に射出成形現象の実験を見ました。
巻研究室では、最先端のロボット工学と情報処理技術を駆使して、新たな海中海底探査システムの提案、特に、AUV (Autonomous Underwater Vehicle, 自律型海中ロボット)をはじめとする複数の自律プラットフォームの連携により、船舶をベースとするこれまでの観測手法では考えられなかったような広範囲・高精度・長期間の海底観測を可能とするシステムの実現を目指しています。自律型海中ロボット「Tri-TON(トライトン)」を試験水槽に入れた実演では、コンピュータからの指示が届かない水中で、ロボット自らが状況を判断して動く様子を間近で見ることができました。
量子レベルのミクロの世界から地球規模のマクロの世界まで、幅広い分野にまたがる研究室を訪問したことで最先端の実践技術に触れ、産学連携の最前線を体感することができた大変有意義な一日となりました。