お知らせ
ファミリーイベント ~国立天文台見学会(第6回)~
2015年1月5日
EMPのファミリーイベントとして、12月23日に国立天文台(東京都三鷹市)の見学会を行いました。天候にも恵まれ、今までの6回の中でも最多の115名(大人74名、子供41名)の参加がありました。
国立天文台は、世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターとして、観測・研究・開発を広く推進したり、天文学および関連分野の発展のために活動しています。
自然豊かな静かな構内には、旧石器時代から近世までの複合遺跡もあり、国立天文台の前身である東京天文台の面影を残す大正期の建物も点在しています。4グループに分かれて、それらの建物などを見学しました。
最初に、国立天文台三鷹の中で現存最古の建物で、国の登録有形文化財にも指定されている第一赤道儀室を見学しました。第一赤道儀室は大正10年(1921年)に建てられ、ドーム内にある口径20cmの望遠鏡は、昭和14年(1939年)から60年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍したそうです。
第一赤道儀室を見学した後、太陽から土星までの距離を140億分の1に縮めて100mにした「太陽系ウォーキング」を歩きながら、天文台歴史館に向かいました。 惑星パネルには惑星の14億分の1の模型がついていて、太陽の模型から歩いていくと、水星・金星・地球ときて土星までの模型が展示されおり、距離や大きさを体感しながら、惑星の特徴を知ることができます。太陽と比べると地球の大きさは豆粒大ほどで、太陽の大きさ、太陽系の広大さを改めて実感することができました。
天文台歴史館(大赤道儀室)も国の登録有形文化財に指定されており、地面からの高さ19.5m、ドーム直径が15mもある巨大な建築物です。焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めた木製ドーム部分は、造船所の技師の支援を得て造られた大変珍しい建築になっています。現在この建物は天文台の歴史に関する資料などが展示されていますが、2階部分にある望遠鏡は、屈折望遠鏡としては国内最大口径65㎝を誇り、既に研究観測からは引退していますが、現在でも観測が可能な状態だそうです。
その後、講義室に戻り、高梨直紘特任准教授による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いたプレゼンテーションがありました。 冬の大三角形やすばる(プレアデス星団) など、その日の晩に見える冬の星座や天体の紹介があった後は、地球を離れて一 路宇宙の果てへ。138億光年の莫大なスケールを自由に地球から宇宙の果てまでの莫大なスケールを自由に移動しながら、天文学の最新の観測データや理論モデルによって描き出された宇宙の姿などを通じて、最新の天文学の世界を文字通り「目のあたり」にするような体験ができました。
束の間の宇宙の旅から戻ると、サンタさんからのクリスマスプレゼントが待っていました。思いがけないプレゼントに子供たちは大喜びでした。
最後に、国立天文台TMT推進室長の家 正則教授より「世界一競争~30m望遠鏡TMT~」のお話がありました。TMT(Thirty Meter Telescope:30m望遠鏡)プロジェクトとは、口径30mという現在活躍している すばる望遠鏡の10倍以上の面積の主鏡を持つ史上最大の地上望遠鏡計画です。建設地はハワイ・マウナケア山の山頂(標高4200m)。日本、米国、カナダ、中国、インドの国際協力によって2014年度に建設をスタートして、2021年度の完成を目指しています。
この大きな鏡により、これまでの8m級の望遠鏡と比べ、解像力は約4倍、光を集める能力は10倍以上になるそうで、この高い解像度と集光力で 地球型惑星の発見やそこに生命を探る等、これまで手が届かなかった天文学の謎に迫ることも可能になるそうです。
難しい内容を身近な例を用いてわかりやすくお話いただき、参加者からは、天文の世界の奥深さとそれを観測する人々の情熱と努力によって初めて遠くの星が観測できるということを知り 圧倒された、という声が聞かれました。
見学会が終わる頃には外もすっかり暗くなり、最後は屋外に出て、星空観望をしました。法政大学の岡村定矩教授(前東京大学理学系研究科教授)による解説で、プレアデス星団(すばる)、アンドロメダ銀河(M31)、火星、冬の大三角 などが大変きれいに見えました。
今回の見学会では、家族といっしょに豊かな自然の中で歴史ある建物や貴重な観測施設を見学し、宇宙への想いを馳せる貴重な機会となりました。