お知らせ
プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空観望と坐禅(第12期)~
2014年12月3日
EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「坐禅実修」が2014年11月28日から29日にかけて群馬県で行われました。
11月28日午後3時すぎに本郷キャンパスを出発して貸切りバスに揺られること約3時間、赤城山中腹の宿に到着。月が山に隠れて見えなくなってしまうということで、宿に到着直後、まずは観望会場に直行しましたが、あいにくの曇り空で残念ながら月を見ることができませんでした。
夕食後、室内で高梨直紘特任准教授による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いたプレゼンテーションがありました。地球から宇宙の果てまでを自由に移動して俯瞰し、最新の研究や観測にもとづいて宇宙の姿を描いた「宇宙図」と併せて見ることで、私たちがどのような世界にいるのか、更に理解が深まったようです。
今回は星空観望をあきらめかけていましたが、Mitakaを使った「宇宙の旅」から帰還した真夜中11時半頃、夜空を見上げたら なんと星空が見えるではありませんか! 一度撤収した大型双眼望遠鏡や小型双眼鏡を宿のテラスに急きょ準備し、予定通り星空観望ができました。
法政大学の岡村定矩教授(前東京大学理学系研究科教授)による解説で、アンドロメダ銀河(M31)、プレアデス星団(すばる)の探し方を学び、岡村教授の天空まで届くようなレーザーポインターの導きにより、実際にそれらを肉眼やフジノン大型双眼望遠鏡(富士フイルム製)で見ることができました。地球から約230万光年の距離に位置するアンドロメダ銀河を肉眼でも確認することができました。また、オリオン大星雲、冬の大三角、冬のダイヤモンドなども大変きれいに見えました。
約1時間の観望会後、空は再び厚い雲に覆われました。
翌日(11月29日)、紅葉の赤城山をあとに、群馬県桐生市の臨済宗建長寺派宝徳寺に向かいました。真義臨済宗 管長、元臨済宗大本山向嶽寺 僧堂師家・小島岱山老師による坐禅と公案(禅問答)の実習です。
小島老師との一対一の公案では、予め出された問いに対して、一人ひとり自分の考えを答えるものです。今回も代表的な『無門関』から「無字の公案」の他、「夜空に輝く あのアンドロメダ銀河を手を使わずに取ってみよ。つかみ取ったアンドロメダ銀河には何と書いてあるか。」という問いが出されました。
ヒントはアタマで考えるのではなく、創造的直観力で「対象存在と一つになる」ということだそうです。 この公案の実践は、ほとんどの受講生にとって初めての体験で、かなりインパクトがあったようです。
当日は昼過ぎまで大雨で寒い日でしたが、午後には雨があがり、きれいな青空に変わりました。苦しい坐禅実習も、この日の天気のように晴れやかな気分で自分と向き合うことができたようです。特に、雨があがったあと、水滴に輝く紅葉と石庭を眺めながらの坐禅はすがすがしく、とても印象的な坐禅体験となりました。
普段の座学から離れ、夜空の下で壮大な宇宙に考えを馳せ、自然との一体感を味わいながら、坐禅や公案を通して自己の小宇宙を探求した2日間でした。