お知らせ

プログラムレポート ~先端科学技術研究センター見学(第17期)~

2017年7月10日

EMP第17期では、7月7日に東京大学駒場リサーチキャンパスにある先端科学技術研究センター(以下、先端研)の見学を行いました。
先端研は、学術の発展と社会の変化から生じる新たな課題へ挑戦し、人間と社会に向かう先端科学技術の新領域を開拓することによって、科学技術の発展に貢献することを目的とした附置研究所です。「環境・エネルギー」「情報」「材料」「生物医化学」「バリアフリー」「社会科学」の六つの研究領域において、ダイナミックに研究活動が展開されており、そこで行われている研究活動の実際に触れてきました。

はじめに、先端研所長の神崎亮平教授から先端研における研究活動の概要についての説明がありました。それに引き続き、先端研の中邑賢龍教授から「バリアフリー ~ユニークさを活かすスマホ時代の学び方・働き方~~」、瀬川浩司教授からは「日本の再生可能エネルギー ~次世代太陽光発電の挑戦~」というテーマで講義がありました。

神崎所長による先端研紹介
神崎所長による先端研紹介
中邑教授による講義
中邑教授による講義
瀬川教授による講義
瀬川教授による講義


午前中の講師や午後の見学コースの研究者たちとの昼食会後、午後は三つのグループに分かれて、四つの研究室の見学をしました。

木製風洞
木製風洞(通称:3m風洞)

研究室見学に先立ち、神崎所長の特別の案内で一号館にある木製風洞施設を見学しました。東大航空研究所が駒場地区に移転された際、最初に建設された木製風洞(1930年実験開始)で、長距離飛行世界記録を作った航研長距離機や国産旅客機YS-11等の設計に関わった、日本の航空史を語る上で極めて重要な風洞です。今なお現役の実験設備です。

情報領域 生命知能システム分野の神崎・高橋研究室では、昆虫科学が拓く新しい科学と技術について研究しています。安藤規泰特任講師と櫻井健志特任講師の案内で、昆虫の微小脳を調べる技術、つくる技術、そしてセンサやロボットへ利用する技術についての説明を聞き、研究室の見学をしました。

フェロモンの匂いに反応するカイコ蛾ついて説明する安藤特任講師
フェロモンの匂いに反応するカイコ蛾
について説明する安藤特任講師
フェロモン受容体を利用したバイオセンサ開発について説明する櫻井特任講師
フェロモン受容体を利用したバイオセンサ
開発について説明する櫻井特任講師
昆虫操縦型ロボット
昆虫操縦型ロボット


環境・エネルギー領域 エネルギー・環境分野の瀬川研究室では、内田聡特任教授から色素増感型太陽電池の展示物前で説明を聞いた後、色素増感太陽電池(微小セル)の作製・評価実験現場とドライルーム内に構築した10cm角サブモジュールの自動化試作ラインを見学しました。

バリアフリー領域 人間支援工学分野の中邑・近藤研究室では、学際的、社会活動型アプローチによりバリアフリー社会の実現を目指し、身の回りにあるテクノロジーをいかに利用するかに焦点を当てたリアリティある研究を行っています。近藤武夫准教授から「超短時間雇用という新しい働き方のデザイン」の説明を聞きました。

色素増感太陽電池の製造ラインについて説明する内田特任教授
色素増感太陽電池の製造ライン
について説明する内田特任教授
「新しい働き方のデザイン」について説明する近藤准教授
「新しい働き方のデザイン」
について説明する近藤准教授

材料領域量子情報物理工学分野 中村・宇佐見研究室では、量子力学の原理に基づいた新しい情報処理・通信・高精度計測などを目指す量子情報科学の発展に、物理と工学の側面から取り組んでいます。鹿野豊特任准教授より量子情報処理に向けたデバイス技術の研究の説明を聞いた後、野口篤史特任助教の案内で実験室の見学を行いました。

量子情報処理に向けたデバイス技術について説明する鹿野特任准教授
量子情報処理に向けたデバイス技術
について説明する鹿野特任准教授
実験室について説明する野口特任助教
実験室について説明する野口特任助教


今回の先端研見学会では、最先端の施設を活用し、「人間と社会に向かう先端科学技術の新領域開拓」の現場を垣間見ることができた一日でした。

page top