お知らせ
プログラムレポート ~宇宙と「無」:星空観望と坐禅(第20期)~
2018年12月15日
EMPのハイライトの一つである「星空観望会」と「坐禅研修」が2018年12月7日から8日にかけて群馬県で行われました。
12月7日午後3時すぎに本郷キャンパスを出発して貸切りバスに揺られること約3時間、暗やみにつつまれた赤城山中腹の宿に到着。到着時、空には雲がかかっていましたが、夕食後、星空観望には絶好の天候になりました。
岡村定矩名誉教授(東大EMPチェアマン補佐)による解説で、次の日の公案のテーマのひとつにもなっているアンドロメダ銀河(M31)やプレアデス星団(すばる)の探し方を学び、フジノン大型双眼望遠鏡(富士フイルム製)等で見ました。
岡村教授がレーザーポインターで星を指しながら楽しそうに説明される姿に引き込まれ、寒い中、皆、童心に返って星空を見上げていました。地球から約230万光年の距離に位置するアンドロメダ銀河は肉眼でも確認することができました。
星空観望の後は、室内で高梨直紘特任准教授による国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(ミタカ)」を用いたプレゼンテーションがありました。地球から宇宙の果てまでを自由に移動して俯瞰し、最新の研究や観測にもとづいて宇宙の姿を描いた「宇宙図」と併せて見ることで、私たちがどのような世界にいるのか、更に理解が深まったようです。
翌日(12月8日)も天候に恵まれ、赤城山をあとに、群馬県桐生市の臨済宗建長寺派宝徳寺に向かいました。真義臨済宗 管長、元臨済宗大本山向嶽寺 僧堂師家・小島岱山老師による「絶対無の哲学」についての提唱、坐禅と公案(禅問答)の実習です。
小島老師との一対一の公案では、予め出された問いに対して、一人ひとり自分の考えを答えるものです。今回も代表的な『無門関』の「無字の公案」から問いが出されました。いったい何と答えてよいのやら、考えれば考えるほど分からなくなる問いですが、ヒントはアタマで考えるのではなく、創造的直観力で「主客一体」となるということだそうです。 この公案の実践は、ほとんどの受講生にとって初めての体験で、小島老師との熱い対話はかなりインパクトがあったようです。受講生からは、非日常的な体験を通し、体で感じ取っていくことの大切さを実感した得がたい体験だったという声が多く聞かれました。
5時間にもおよぶ坐禅実習は、脚の痛みや寒さもありましたが、枯山水の庭園にいやされ、普段の座学から離れて夜空の下で壮大な宇宙に考えを馳せ、自然との一体感を味わいながら、坐禅や公案を通して自己の小宇宙と大宇宙を探求した2日間でした。