現代西洋経済史(冬学期、月V・木T)
1.講義の概要・目的(2009年10月5日改訂)
19世紀末から20世紀末までの欧米社会経済史を、諸国・地域間の対立・摩擦の側面と、経済統合に向かう側面とに注目しながら概観する。この講義では上の1世紀ほどの期間をいくつかの時期に区分して、各期の@世界システム(通貨・金融、資本移動、貿易・海運、人口移動、外交・軍事など)の特質、A各国・地域の内的条件(殊に労使関係、農業、失業・貧困問題)を概説したうえで、B国内問題が国際問題に、また国際問題が国内問題に転化する様相を明らかにして、Cそれらを解決・回避する方策がどのように模索されてきたかを論ずる。おもに欧米を対象とするが、必要に応じて日本など非欧米地域にも論及する。
講義ではおよそ以下のようなテーマを論じる。
T 導入
1 課題と方法
2 19〜20世紀という時代
U パクス・ブリタニカの世界 −"nation-"の形成−
1 インダストリアリズム
2 「国民国家」・「国民経済」の言説
3 世界経済の完成と対立 −「自由貿易」体制−
V 19世紀末の変化と第1次世界大戦 −"nation-"の制約−
1 世界システムの変化 −「大不況」−
2 「国益」の論理転換 −保護主義・関税戦争−
3 世界市場と植民地
4 破局と組織化の経験 −第1次世界大戦−
W 戦間期と第2次世界大戦
1 もう一つの組織化 −社会主義−
2 逆行 −ヴェルサイユ体制−
3 戦時の経験の不可逆性 −1920年代−
4 世界経済の性格変化と大恐慌
5 再び組織化 −1930年代−
6 再び破局 −第2次世界大戦−
X 戦後秩序の形成と動揺
1 戦後構想と戦後
2 再建・改革と冷戦の開始
3 国際調整の仕組み
4 ヨーロッパ共同体
5 動揺と深化
6 再編
Y 結語
講義案内(2009年10月5日配付)
文献リスト(2009年10月15日配布、12月3日改訂)
テーマ:「現代の経済政策思想 −自由と保護−」
経済政策・社会政策に作用した思想の変容に注目することから、現代(≒20世紀)という時代を理解し、現代の終焉がどのような現象であるのかを、歴史の問いとして考察する。今年度は金融・証券の破綻に関わる政策的失敗の合理的な背景を取り上げたい。
なお。個人研究(卒論)のテーマは各自の選択に委ねるので、必ずしも上のテーマに縛られる必要はない。冬学期の途中まではおもに共通文献の輪読と討論に、それ以降(および9月の合宿)は個人研究の中間報告に当てる。
お問い合わせ: