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2015年度の担当科目


大学院

  経済史・経営史研究入門(Sターム2単位、水T)

  国際経済T(Sターム2単位、月V)

  現代欧米経済史「欧州統合史」(総合文化研究科「欧州研究」プログラム・欧州統合史と合併)(Aターム2単位、金U)

  現代ヨーロッパ経済史教育プログラム(CHEESE GRADUATE PROGRAMME

  東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)


学 部

  現代西洋経済史(Aターム4単位、月W・木W)

  学部演習(通年4単位、金X)



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大学院

経済史・経営史研究入門(Sターム、水T)

 経済史・経営史の研究に必要な基礎的な研究上の技法、考え方を学ぶことを目的とする。具体的なテーマとしては、文書資料の探し方、読み方、使い方、資料や統計の成り立ちなどを取り上げる。
1導入                            小野塚知二
2経済史・経営史という専門分野                 馬場哲
3日本経済史と史料                      小島庸平
4日本経済史と史料                      谷本雅之
5アジア経済史と史料                     城山智子
6欧米経済史と史料                      石原俊時
7欧米経済史と史料                      石原俊時
8経営史と史料                        粕谷誠
9経営史と史料                        粕谷誠
10経済史と統計                        岡崎哲二
11福祉国家と史料・統計                     大沢真理
12聴き取り調査による歴史(オーラル・ヒストリー)の可能性と注意点 中村尚史
13文書館学・古文書学と史料                   小島浩之
14史料調査・文書撮影                      小島庸平・小野塚知二



国際経済T(Sターム、月V)

 国際経済を次の3つの視点から論じる。@国際経済的視点と世界システム的視点、A現代経済の二つの起源と二つの性格、B国際経済の統治と多国籍企業。
 T.国際経済的視点と世界システム的視点:@国際経済的視点(国民経済的視点)、A世界システム的視点、B資本主義世界システムの経済的側面、C資本主義世界システムの経済的側面(続)
 U.現代経済の二つの起源と二つの性格:@二つの起源(1):介入的自由主義と分断されたグローバル経済、A二つの起源(2):二つの起源の統合:第一次世界大戦と1930年代、B二つの性格:保護と自由、Cヨーロッパ統合の経験とアジア・太平洋地域
 V.国際経済の統治と多国籍企業:@WTO体制とアジア経済統合、A地球環境問題と再生可能エネルギー、B多国籍企業論、C「国家資本主義」の台頭




現代欧米経済史「欧州統合史」(冬学期、金U)

 本講義は、この1世紀ほど(19世紀末〜21世紀初頭、すなわち現代)のヨーロッパにおける対立・摩擦と協調・統合の要因とその相互関係を分析し、アジアの状況と比較することにある。現代ヨーロッパ史のユニークな点は、それが激烈な対立を繰り返しながらも、長期的な趨勢としては確実に協調と統合の可能性を開拓してきたところにあり、第二次大戦後のヨーロッパ統合の進展過程やEUの現状に目を向ける際にも、摩擦、軋轢、齟齬、対立の側面を忘れることはできない。
 ヨーロッパが趨勢として協調と統合の方向に向かってきたことは否定できないが、本講義はその過程を、理性的な統合思想と「統合の父たち」に彩られた予定調和的な歴史としては描かず、19世紀以来の社会、経済、政治、学術等々さまざまな領域における共通経験の長い蓄積に注目し、対立と協調に作用した経済的条件、社会的条件、政治的条件、および、それら諸条件の相互関係に論及する。そうすることによって、密接な経済的相互依存関係は政治的対立を防止するとか、近代の国民国家や国益概念が衰退して統合が進展したなどの通俗的見解を批判的に検討するとともに、アジア統合の可能性を考える際に必要な論点を探ることもできるであろう。
 また、今年度は特に、ヨーロッパにおける通貨、財政、福祉社会の三面での危機に注目して、その原因と発生態様について歴史研究の知見を用いて考察することにする。
 授業計画
 T 導入・目的・方法
 U 相互依存的世界経済とその破綻
  1 相互依存的グローバル経済の展開 ―19世紀のヨーロッパと世界― 
  2 帝国主義・対立と相互依存 ―第一次大戦前のヨーロッパと世界― 
 V 二つの大戦と戦間期の経験
  1 破局と組織化の経験 ―第一次世界大戦― 
  2 「常態への復帰」か「戦時」の不可逆性か?
  3 世界経済の性格変化と大恐慌 ―協調の可能性と破綻― 
  4 再び組織化と破局 ―国際金融協調の実験― 
 W 戦後秩序の中でのEC/EUの形成と進化
  1 戦後構想と戦後
  2 ヨーロッパの再建・国際協調と冷戦
  3 ヨーロッパ共同体
  4 動揺と再編
  5 市場統合と通貨・金融面の調整
  6 福祉社会の危機
  7 財政・通貨危機
 X 結語と補論:統合史における軍事・兵器産業



学 部

現代西洋経済史(Aターム、月W・木W)

1.講義の概要・目的
19世紀末から20世紀末までの欧米社会経済史を、諸国・地域間の対立・摩擦の側面と、経済統合に向かう側面とに注目しながら概観する。この講義では上の1世紀ほどの期間をいくつかの時期に区分して、各期の@世界システム(通貨・金融、資本移動、貿易・海運、人口移動、外交・軍事など)の特質、A各国・地域の内的条件(殊に労使関係、農業、失業・貧困問題)を概説したうえで、B国内問題が国際問題に、また国際問題が国内問題に転化する様相を明らかにして、Cそれらを解決・回避する方策がどのように模索されてきたかを論ずる。また、同時に、ヨーロッパ現代史・ヨーロッパ統合史に関する通説・俗説を批判的に検討して、謬説や嘘がどのように形成され流布するのかにも論及する。  おもにヨーロッパ諸地域を叙述対象とするが、世界システムや国際問題を扱うために、必要に応じてそれ以外にも論及する。19-20世紀において世界の人口と面積の大半を占めた植民地・第三世界だけでなく、殊に20世紀には、北米と日本はヨーロッパにとって無視できない外的要因である。
T 導入
  1 課題と方法
  2 19〜20世紀という時代
 U パクス・ブリタニカの世界 −"nation-"の形成−
  1 インダストリアリズム
  2 「国民国家」・「国民経済」の言説
  3 市場統合への動きと対立 −「自由貿易」体制−
 V 19世紀末の変化と第1次世界大戦 −"nation-"の制約−
  1 世界システムの変化 −「大不況」−
  2 「国益」の論理転換 −保護主義・関税戦争−
  3 介入的自由主義と国際金本位制・多角的決済システム
  4 世界市場と植民地
  5 破局と組織化の経験 −第1次世界大戦−
 W 戦間期と第2次世界大戦
  1 もう一つの組織化 −社会主義−
  2 逆行 −ヴェルサイユ体制−
  3 戦時の経験の不可逆性 −1920年代−
  4 世界経済の性格変化と大恐慌
  5 再び組織化 −1930年代−
  6 再び破局 −第2次世界大戦−
 X 戦後秩序の形成と動揺
  1 戦後構想と戦後
  2 再建・改革と冷戦の開始
  3 国際調整の仕組み
  4 ヨーロッパ共同体
  5 動揺と深化
  6 再編と危機
 Y 結語 ―現代の終焉― 

  
講義案内(2015年9月10日配付)
  現代西洋経済史受講者諸君にひとこと ―成績評価・レポートについて― (2015年11月9日配布)
  レポート表紙(.rtf) レポート表紙(.pdf)(2015年11月9日掲載)
  「レポートの作成について」(2015年11月9日掲載)










学部演習(通年、金X)


演習ガイダンス配付資料(2015年4月10日配布)

テーマ: 「第一次世界大戦と現在:経済は平和を守れるのか?」(経済とナショナリズム ―平和と国際分業はいかに破壊されたのか?―)

  現在の日本、韓国、中国、台湾の経済は非常に密接で切り離せない関係にあるが、他方でこれら諸国の間にはさまざまな問題がくすぶっている。
 経済的な関係が緊密なら友好的な国際関係が築かれるとの、第二次世界大戦後の通り相場となっている信念は本当に正しいのだろうか。平和と国際分業はいかなる場合に壊れるのか。今年度はこうした問題を考えてみたい。
 実は百年ほど前にも、当時の高度にグローバル化した国際経済に注目して、国益の対立、国境と関税・貿易障壁、ましてや戦争は、過去の幻影に過ぎないと理想主義的な平和論を唱えた人物がいた。しかし、彼の考えはその数年後に第一次世界大戦が勃発したことによって簡単に覆されてしまった。19世紀後半から第一次世界大戦直前までの世界経済は、現在よりもはるかに緊密に結び付いた相互依存的な国際分業関係の中で持続的かつ円滑に発展していた。それが第一次世界大戦によって断ち切られてから、現在にいたるまで、同程度に緊密かつ円滑な国際分業関係を再構築することに成功していないのだが、では、こうした緊密な経済関係を破壊した第一次世界大戦はなぜ、また、いかにし発生したのだろうか。
 上述の問題を考える題材として、第一次世界大戦前の世界の相互依存的な経済システム(S.B.Saul, the multilateral trading system)が展開する中で、各国で戦争に帰結せざるをえない何が発生したのかを考察して、従来の第一次世界大戦原因論を批判的に吟味することとにする。国際分業の進展は必然的に衰退産業・衰退地域や失業の発生をもたらすが、繁栄の中の衰退という現象は特別な解釈を必要とし、その最も安易な解釈は、衰退を他国のせいにするナショナリズムの言説によって提供された。第一次大戦前の欧州各国の政治家は国内の矛盾や軋轢を回避するためにナショナリズムを利用したのであるが、それがいかなる意図せざる効果をもったかを究明するのが、今年度の主たる関心事である。これと同様の事態は現在から将来にかけても東アジア諸国にも起こり得ることであって、こうした危険の在処を見透し、それを回避するために、歴史を現在の武器とする思考方法を養ってもらいたい。
 なお、個人研究・卒論のテーマは各自の選択に委ねるので、必ずしも上のテーマに縛られる必要はない。



  演習教材(PDFファイル)




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