教  育

表  紙
はじめに
研  究
インタビュー
その他いろいろ
リンク

2017年度の担当科目


大学院

  世界経済T(Sセメスタ2単位、月V)

  欧米経済史U「欧州統合史」(総合文化研究科「欧州研究」プログラム・欧州統合史および経済学部・上級西洋経済史と合併)(Sセメスタ、2単位、金U)

  現代欧米経済史「移民史・越境社会史」(Aセメスタ、2単位、金U)

  経済史・経営史研究入門(Sセメスタ、2単位、火V)
   『平成29年度 授業内容の概略及び履修登録に関する諸注意』173頁を参照されたい。

  エグゼクティブ・プログラム(S・A各2単位、木Y、大学院共通授業科目、学部学生も受講は可)

  現代ヨーロッパ経済史教育プログラム(CHEESE GRADUATE PROGRAMME

  東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)


学 部

  経済史U(S1、2単位、月W・木W)

  経済史T(A2、2単位、月T・U)

  上級世界経済T(Sセメスタ、2単位、月V)

  上級西洋経済史「欧州統合史」(Sセメスタ、2単位、金U)

  学部演習「経済的相互依存関係とそれを破壊する力 ―ナショナリズム、ポピュリズム、被害者意識― 」(通年4単位、金X)



2016年度の担当科目

2015年度の担当科目

2014年度の担当科目

2013年度の担当科目

2012年度の担当科目

2011年度の担当科目

2009年度の担当科目

2008年度の担当科目

2007年度の担当科目

2006年度の担当科目

2005年度の担当科目

2004年度の担当科目




大学院

世界経済T(経済学部・上級世界経済T)(S、月V)

 現代世界経済の成り立ちと制度的な枠組み、現状と問題点について総合的に理解することを目標とする。Tでは現代世界経済の起源とヨーロッパ統合への歩み、貿易や地球環境問題に関わる制度、多国籍企業と国家資本、雇用・労働問題を取り上げる。
シラバス




欧米経済史U「欧州統合史」(総合文化研究科・欧州統合史、経済学部・上級西洋経済史U)(S、金U)

 本講義の目的は、この1世紀ほど(19世紀末〜21世紀初頭、すなわち現代)のヨーロッパにおける対立・摩擦と協調・統合の要因とその相互関係をそれぞれ分析して、アジアの状況と比較することにある。現代ヨーロッパ史のユニークな点は、それが激烈な対立を繰り返しながらも、長期的な趨勢としては確実に協調と統合の可能性を開拓してきたところにあり、第二次大戦後のヨーロッパ統合の進展過程やEUの現状に目を向ける際にも、協調・統合と、摩擦・軋轢・齟齬・対立の側面とが併存していることを忘れることはできない。
 ヨーロッパが趨勢として協調と統合の方向に向かってきたことは否定できないが、本講義はその過程を、「理性的な統合思想」と「統合の父たち(Founding Fathers)」に彩られた予定調和的な歴史としては描かず、19世紀以来の社会、経済、政治、学術等々さまざまな領域における共通経験の長い蓄積に注目し、対立と協調の双方に作用した経済的条件、社会的条件、政治的条件、および、それら諸条件の相互関係に論及する。そうすることによって、密接な経済的相互依存関係は政治的対立を防止するとか、近代の国民国家や国益概念が衰退して統合が進展したなどの通俗的見解を批判的に検討するとともに、アジア統合の可能性(あるいは困難性)を考える際に必要な論点を探ることもできるであろう。
 また、今年度は特にヨーロッパにおける通貨・財政、移民・難民、福祉社会の三面での危機 ―その端的な表現は各国で現れている「ヨーロッパ新右翼」とでもいうべき政治勢力であり、その経済史的な背景がこれらの危機を理解する際に決定的に重要である― と一連のEU離脱ないしEU懐疑派の動きにも注目して、その原因と発生態様について歴史研究の知見を用いて考察することにする。
 授業計画
 T 導入・目的・方法
 U 相互依存的世界経済とその破綻
  1 相互依存的グローバル経済の展開 ―19世紀のヨーロッパと世界― 
  2 帝国主義・対立と相互依存 ―第一次大戦前のヨーロッパと世界― 
 V 二つの大戦と戦間期の経験
  1 破局と組織化の経験 ―第一次世界大戦― 
  2 「常態への復帰」か「戦時」の不可逆性か?
  3 世界経済の性格変化と大恐慌 ―協調の可能性と破綻― 
  4 再び組織化と破局 ―国際金融協調の実験― 
 W 戦後秩序の中でのEC/EUの形成と進化
  1 戦後構想と戦後
  2 ヨーロッパの再建・国際協調と冷戦
  3 ヨーロッパ共同体
  4 動揺と再編
  5 市場統合と通貨・金融面の調整
  6 福祉社会の危機と難民・移民問題
  7 財政・通貨危機と離脱・分裂問題
 X 結語と補論



現代欧米経済史「移民史・越境社会史」T(A、金U)

 移民史、および、さまざまな境界(国境だけでなく、階級・階層の境界、文化・言語・宗教の境界、経済発展の程度や態様の境界、経済・社会体制の境界等々)の越境に関する歴史について、最近の研究成果を読むとともに、古典の再読や、参加者の個人研究の発表などを適宜組み合わせて、各自の研究の刺激となることをめざす。



学 部



経済史U(S1、月W・木W)

 講義の要項・目的
 経済史は現在(いま)を理解するための有力な方法の一つです。現在の制度、慣行、政策、市場、組織などがいかにして形成され、変容してきたのか、つまり、いまの経済の起源と来歴を知ることと、いまとは異なる経済・社会と比較して現在の経済・社会を相対化すること、これら二点がこの講義の基本的な眼目です。
 われわれの生きる現在は近現代の末端に連なっていますから、現在を社会科学的に知ろうとする際に重要なことは、近現代の社会・経済の特質を、その前史や成立過程とともに理解することです。すでに、経済史Tで、経済史学の基本的な概念と方法、および前近代の社会・経済の特質について講ぜられたはずなので、この科目では経済史Tを受けて、経済史学の基礎を完成させることを目的とします。本講義のT導入では経済史学の課題と基本的な方法を簡単に復習し、Uでは前近代から近代への長い移行期(近世ないし初期近代)の特質を、Vでは近代の市場経済・資本主義・産業社会・市民社会の構造と動態を説明し、併せて、近現代の資本主義・市場経済の生成と維持に必要な制度的・自然的な条件を理解することをめざします。W結語では経済史的観点から現在(いま)を知ることの意味を論じます。
 なお、現代(≒20世紀)については経済学部専門科目2の現代西洋経済史、現代日本経済史などで詳細に講ずるので、本講義では現代は、近現代というように、近代と一括できる限りでの現代しか扱いません。
 授業計画
  T 導 入 ―経済史とは何か:際限のない欲望、効率性、分業―
  U 近 世
   1 総説:前近代から近代への移行
   2 市場経済と資本主義
   3 近世の市場と経済活動
   4 近世の経済と国家 ―絶対王制と重商主義―
   5 近世の経済規範
  V 近 代
   1 産業革命
   2 資本主義の経済制度
   3 国家と経済
   4 自然と経済
   5 家と経済
   6 資本主義の世界体制
   7 近代と現代
  W 結 語 ―いまを知ること― 


  
講義案内(2017年4月6日配付、4月13日掲載)


  経済史U(2017年度)参考文献(2017年4月13日掲載)


経済史T(A2、月T・U)


講義の要項・目的
 経済史は現在(いま)を理解するための有力な方法の一つです。現在の制度、慣行、政策、市場、組織などがいかにして形成され、変容してきたのか、つまり、いまの経済の起源と来歴を知ることと、いまとは異なる経済・社会と比較して現在の経済・社会を相対化すること、これら二点がこの講義の基本的な眼目です。
 われわれの生きる現在は近現代の末端に連なっていますから、現在を社会科学的に知ろうとする際に重要なことは、近現代の社会・経済の特質を、その前史や成立過程とともに理解することです。本講義のTでは経済史学の課題と基本的な方法を概観し、Uでは前近代(中世)の社会・経済との比較から近現代の特質を論じます。Vでは経済史U(および現代西洋経済史)への導入として、近世(前近代から近代への長い移行期)、近代、現代について簡単に概観します。W(担当岡崎)では日本経済を中心に、近世・近代経済の制度・組織的な基盤とその機能について説明します。
 なお、近世と近代については本郷で開講される経済史Uを、現代(≒20世紀)については経済学部専門科目2の現代西洋経済史、現代日本経済史などで詳細に講ずるので、本講義では、導入のための経済史総論と、近現代社会との比較対象としての前近代近代まで扱います。

授業計画
  T 導入 ――経済、社会、人間
   1 経済史とは何か
   2 際限のない欲望、効率性、分業
  U 前近代
   1 総説:前近代と近現代
   2 共同体と身分制
   3 前近代社会の持続可能性と停滞
   4 前近代の市場、貨幣、資本
  V 近世・近代・現代
   1 総説:前近代から近代への移行、近代から現代への変容
  W 日本経済における近世・近代

教科書
 小野塚知二『経済史――今を知り、未来を生きるために』有斐閣、2018年1月刊行予定.

参考文献  馬場哲・山本通・廣田功・須藤功『エレメンタル欧米経済史』晃洋書房、2012年、金井雄一・中西聡・福澤直樹編『世界経済の歴史』名古屋大学出版会、2010年。このほかの文献については講義開始後にリストをウェブ上に公開し、また、必要に応じて随時案内します。

  
講義案内(2017年11月20日配付)

  経済史U(2017年度)参考文献(2017年12月6日掲載)

  経済史T受講者諸君にひとこと ―成績評価とレポートについて―(2017年12月6日掲載)

  レポートの作成について(2017年12月6日掲載)

  レポート表紙(rtf版:右クリックで保存してください。ワープロで開いて書き込めます)(2017年12月6日掲載)

  レポート表紙(pdf版)(2017年12月6日掲載)


学部演習(通年、金X)

演習ガイダンス配付資料(2017年4月7日配布)

テーマ: 「経済的相互依存関係とそれを破壊する力 ―ナショナリズム、ポピュリズム、被害者意識― 」

  概要:
 第一次世界大戦前の世界経済は、いまでは想像もしにくいことですが、きわめて密接に結びつき、円滑かつ循環的に発展していました。物財の貿易、資本の輸出入、人の移動・移住はいずれもほとんど障壁なくなされ、世界各地の経済は、植民地も含めて、きわめて順調に成長し続けていました。しかも各地の情報は現在と同様に瞬時に世界の人々の間に行き渡っていました。これを第一のグローバル経済といいます。
 そうした世界経済の円満な発展ゆえに、いまや国境も関税も意味を失い、まして戦争など起こるはずもないと楽観的に考える自由主義的平和主義者(Norman Angell)がもてはやされ、また、他方では各国で勢力を増しつつあった社会主義運動も労働者の国際連帯(インターナショナリズム)を堅持して、帝国主義戦争には加担しないことを誓い合っていました。それにもかかわらず、1914年の夏のある日、第一次世界大戦は突然勃発して、緊密に結び付いたグローバル経済は瞬時に破壊されてしまったのです。
 しかも、イギリスはそうした経済の中心であり、基軸通貨ポンドを世界に提供し、世界の貿易・海運・保険を担うことで、この第一のグローバル経済から大きな利益を得ており、それがイギリスの外交上の優位性の大きな源泉でもありました。イギリスの政治家もそのことは承知していましたから、参戦には大いに躊躇逡巡するのですが、奇妙なほど、彼らは後ろ向きに、戦争という蟻地獄に向かって落ち込んでしまいます。参戦でイギリスが経済的・外交的な利益を喪失しただけでなく、世界も有力な中立国・停戦仲介者を失って、大戦は足かけ5年におよぶ悲惨な災厄を世界にもたらすこととなります。その後一世紀以上、現在にいたるまで、第一次世界大戦前と同様の円滑・円満なグローバル経済は回復していません。第一次世界大戦後、現在まで一世紀の世界経済は、短い例外を除けば、概して、不安定と不均衡と分断とで特徴付けることができます。第二次世界大戦後は、仏独和解・欧州統合や「冷戦体制の終焉」で、日本と中国・韓国・ロシアの間を除くなら、既に終わっていますが、第一次世界大戦の戦後はまだ終わっていないのです。
 では、誰も望んでいなかった不条理で不合理な戦争はなぜ発生したのでしょうか。通説となっている「帝国主義諸列強の対外膨張策の衝突」、「3B政策と3C政策の対抗」、「三国同盟と三国協商の対立」はいずれも開戦原因をほとんど説明できません。戦争責任論(ヴェルサイユ条約のドイツ責任論)を離れて、開戦原因を冷静に再考することは、第一のグローバル経済が破壊された理由を知るために有益なだけでなく、現在の東アジア・東南アジア(経済的には密接に結びつきながら、外交的・軍事的な緊張が絶えず、民衆心理には対外不信感や敵愾心が静かに醸成されているこの地域)に生きるわたしたちには喫緊の課題です。
 経済的関係が良好なら平和は保たれ、戦争は発生しないのだろうか。これが現在の東アジアに、そして昨年以降はヨーロッパやアメリカも含む世界に突き付けられた問いです。いまや自国を「被害者」として、特定の他国を「加害者」や「侵入者」・「異物」として攻撃し、排除しようとする言説が世界中に満ち溢れ、こうした言説を事とする国々と勢力はハリネズミのように「自衛」のための軍事力と口実で武装しています。
 20世紀末以降、東アジア・東南アジアが世界経済の成長と第二のグローバル化の牽引車の役割を果たしてきましたが、まさに、この地域の経済は非常に密接で切り離しがたい関係にありながら、他方で東アジア諸国の間にはさまざまな外交的・軍事的な問題と民衆心理上の反感・不信感がくすぶってきました。それが、第二のグローバル経済の成長鈍化と不透明化を経験して一挙に欧米諸国にも飛び火し、また、近年、展開している超域型のテロ・ネットワークも「被害者」意識と攻撃的「自衛」とで特徴付けることができます。こうした状況がどのようにして発生し、蔓延したのかを百年前の事例に注目して考察してみましょう。
授業計画: 導入部は講義で、第一次世界大戦前後の世界経済史を概観し、また第一次世界大戦の原因をめぐる通説を批判的に検討し、そこに含まれる問題点を確認する。その後、Aセメスタの途中までは、さまざまな文献を読みながら、今年度のテーマについて考察を進める。また今年度のテーマに関連した複数の課題について小報告をしてもらうので、調べ、まとめ、発表する技法を磨いてほしい。Aセメスタの残り(および9月の合宿)は個人研究の中間発表に当てる。
 授業方法: 各自が個人研究をおもしろい卒論にまとめることを最終目標とし、そのために、文献・資料を調べること、口頭で発表することと、学問的な文章を書くことを繰り返し指導し、訓練する。
 教科書: 参加者と相談して決めるが、とりあえずの手掛かりとして、小野塚知二編著『第一次世界大戦開戦原因の再検討 ―国際分業と民衆心理― 』(岩波書店、2014年)を挙げておく。
 申込書類:これまでに読んだ書物と履修した講義の中で印象に残っていること、関心の所在と研究してみたいテーマ、および、この演習を志望する理由の3点を2,000〜4,000字程度のエッセイ(A4横書き)にまとめ、学部所定の書類とともに提出されたい。
 選考方法:提出書類によるが、面接をすることもありうるので、提出書類に必ずメイル・アドレスを明記されたい。
 新規募集人員:10名
 平成29年度以降の開講予定の有無:開講予定。なお、4年次からの新規参加は妨げないが、その場合は書類提出に先だって個別に相談されたい。
 HP:http://www.onozukat.e.u-tokyo.ac.jp/educational_j.html



  演習教材(PDFファイル)





  小野塚ゼミ同窓会のページ





お問い合わせ: